無名人時計主宰の書斎
COLUMN

職場の会話のお悩み相談|上司と二人きりで話が続かない、昼休みの雑談に入れない

職場の会話で、困っている場面を取り上げて、無名人インタビュー主宰の栗林が答えます。答えの中に出てくる考え方は、連載「聞き方から考える話し方」の法則の回で、くわしく書いています(19の法則の目次)。

課長との車の2時間、話が続かない

こんな場面

営業職2年目。来月から毎週、課長の営業に同行することになった。移動は車で片道2時間。

課長は無口で、最初の10分で話が尽きて、そのあと1時間以上、沈黙が続く。同行のある週は、日曜の夜から気が重い。

課長のことは嫌いではない。仕事ができる人で、本当は営業のやり方を教わりたい。車の2時間を気まずくなく過ごしたいし、できれば課長から仕事の話を聞き出せるようになりたい。

栗林の答え

気持ちを、素直に言う

話したい相手がいるのなら、話したいという気持ちを、素直に言うのがいちばん大事です。

「課長は仕事ができる方だと思っていて、ぜひ営業のやり方を教えてほしいんです」

これを、そのまま言えばいいんです。

素直な気持ちは、素直だなと伝わります。素直な人だなと思われたら、気持ちのいい相手として扱ってもらえるので、心地いい関係ができていきます。

まずいのは、へどもどすること

素直な気持ちが伝わるように、迷っている気持ちも伝わります。

「話そうかな、どうしようかな、話そうかな」とへどもどしていると、そのへどもどした気持ちが伝わってしまいます。それで、なんだか近寄りがたい空気になってしまうんです。

だから、へどもどせずに、ストレートに言う。

では、なぜ言えないのか

多くの場合、うまくしゃべれない、という問題はとてもシンプルです。

うまくしゃべる技術がないのに、うまくやろうとしているから、うまくできない。

自分の中に「これぐらいしゃべれたらいいな」というセルフイメージがあって、それに届かないから、なんだか嫌になる。そういうことが多いです。

解決は、しゃべる練習をすること

解決の方法も簡単で、しゃべる練習をすることです。

しゃべる練習とは何かというと、とにかくたくさんしゃべってみることです。自分の気持ちを伝える。形のないものを説明する。形があるものですら、うまく説明できないものです。考えることと、しゃべることは、別々のことなんです。

思ったこと、考えたことを、とにかくしゃべりまくる。そのうちに「なんかしっくりこない」「この言い方は気持ち悪い」ということが出てきます。その経験を積んでいくと、自分の気持ちもストレートに言えるようになって、うまくなっていきます。

友だちとは話せるなら

友だちとはうまくしゃべれるのに、ということなら、それは年上の人や、友だちではない人と話すことに慣れていない、ということだと思います。

基本的には、しゃべる訓練が足りていない。私はそう思います。この場面は、話したいのに話せない、という話ですからね。

この答えに出てくる法則

転職先の昼休み、雑談の輪に入れない

こんな場面

転職して3か月。昼休みは、同じ部署の5人が休憩室でお弁当を食べながら雑談している。

話題は、前からいる人たちの思い出話や、社内の誰かの噂。聞いているだけで、自分からは何も言えない。たまに話を振られても、「そうなんですね」で終わってしまう。

最近は、昼休みになると外に出て、一人で食べるようになった。仕事の相談もしにくくなってきている。

どうしても解決したいのは、この職場で浮かずに続けていくこと。雑談の輪に入って、困ったときに相談できる人を作りたい。

栗林の答え

まず、その場にいる

いちばん大事なのは、話しかけられる距離にいないと、話はできない、ということです。

いなくなってしまったら、話せません。だから、その場にいるようにしましょう。

話を振られたら、そこがチャンス

話を振られているなら、話す機会があるということです。そこから、コミュニケーションしていくのがいいと思います。

話を振られるというのは、お互いに、どう話したらいいか分からない状態なんです。自分がそう思っているということは、相手もそう思っています。「どう輪に入ればいいんだろう」と思っている人がいて、「どう輪に入れたらいいんだろう」と思っている人がいる。

だから、「そうなんですね」で終わらせないことです。

知らない話を振られたら、教えてもらう

具体的に何と言われているのか分からないので、難しいところではあるんですけど、自分の知らない話を振られた場合は、シンプルです。

「分からないので、教えてください」と言う。

たとえば、野球の話を振られたとします。

「〇〇選手、昨日すごかったよね」

「すみません、私、野球が分からなくて。テレビも持ってないんですよ。詳しく教えてもらってもいいですか? その選手って、王選手と比べて、どれぐらいすごいんですか?」

こんなふうに、自分の知っているものと引き合わせて聞く。そういう工夫が必要ですね。

目的より、まずその場を楽しむ

もうひとつ大事なことがあります。職場の人と仕事の相談ができるようになりたい、という目的は、当然あると思います。目的を達成するように会話をすることも、やろうと思えばできます。

でも、大事なのは、会話を楽しむことです。

まずは、その場を楽しくする。自分も楽しむし、相手も楽しむし、その場全体が楽しめるような考え方をすると、わりとスムーズにいくと思います。

目的を達成しようとすると、「これがうまくいけば、あとで楽になるだろう」とか、「変なことを言ったら、うまくいかないだろう」とか、余計なことを考えてしまいます。そうすると、頭を全力で楽しむことに使えない。楽しむことに集中できないので、楽しむためのアイデアも出にくくなります。

だから、話すことに集中する。目的を持つのは大事なんだけれども、それに引っ張られすぎてもよくない、ということです。

楽しむのは、間

楽しむのは、自分でもない、相手でもない、その間にあるテーマです。

野球の話なら、「自分は野球を知らない」「相手は野球を知っている」と考えるのではなく、野球について、その選手について、考える。

そうすると、「その選手のことを知りたい」「どんな人なの?」が出てきます。

自分と相手に、心の焦点をあてないことです。

この答えに出てくる法則


無名人インタビューについて

無名人インタビューは、2020年から続く一般の方へのインタビュー活動です。16人の制作メンバーが年間約400本、これまでに1,500本以上のインタビューを記事にしてきました。この記事の引用はすべて公開済みのインタビュー記事からのものです。

聞くことは愛すること。

公開

栗林康弘

このコラムを書いた人

栗林康弘(qbc)

無名人インタビュー主宰/聞く学校 校長/パーソナルコーチ

2020年に無名人インタビューを始めました。自分で872本のインタビューを聞き、423本を編集。いまは自分を含む16人の制作メンバーで年間約400本のインタビューを行い、これまでにのべ132名が聞き手・編集として参加しています。公開した実例は1,500本以上。聞き方の体系として「平聴(フラットリスニング)」を提唱し、2026年に「聞く学校」を開きました。1978年生まれ。(「聞いた」「編集した」は2026年6月30日、チームの本数は2026年8月1日時点)

栗林康弘のプロフィール →
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