
会わなかった恋【恋愛インタビュー】
今の恋人だって愛しているけど、でも恋愛という意味では、この時のものに代えるものはないと、そういうこと。
現在
大学4年の最後にようやくaさんへ手紙を1通出し、彼女からは「もっと早く出せばよかった。私が先に」とだけ書かれた返事が今も残されている。8年に及んだ関係は対面に至らないまま終わり、今は別の恋人と愛し合う関係の中で生きている。あの時の関係をラカン的な対象aの構造に照らし「絶対に会えないけれど求めずにはいられない人」と言語化し、これまでの恋愛も「この人はaさんではない」と内心で繰り返しながら終わらせ続けてきたと振り返る。
過去
高校1年(16歳)の頃、偏差値74の公立男子校在学中に「小説家になろう」で自分の通う高校出身バンドのボーカルを応援していたaさんからコメントをもらい、テキスト越しに思いを交わす関係が始まった。直接表明はせずブログ記事と散文・詩で阿吽の呼吸でやり取りを続け、太宰治の「秋風記」を共に愛読し似た文体を育てていった。3〜4年経った頃に「あまりに好きすぎて」アメブロに逃げたが、aさんも追ってきてfc2で対話を継続。一浪して大学進学し、住所まで知りながら一度も会うことはなかった。
あまりにも彼女のことを好きすぎて逃げたんだけどね。
未来
恋人を愛し続けながらも、aさんとの恋愛だけは「一生かけても代え難い」唯一無二のものとして自分の中に保存される。これからも誰かにときめいたり、センス・オブ・ワンダーのような恋をしたり、誰かを愛したりすることはあるだろうと考えるが、あの時の「恋愛らしい恋愛」の代替は二度と訪れないと自覚している。テキストで共鳴する快楽の構造を持つ恋文的なやり取りが、自分にとって最も深い恋愛の形であり続ける。
愛することはあるし、誰かにときめき、センス・オブ・ワンダーみたいな恋をする。

