無名人時計
会わなかった恋【恋愛インタビュー】

会わなかった恋【恋愛インタビュー】

2025年
恋愛片思いなろう系
今の恋人だって愛しているけど、でも恋愛という意味では、この時のものに代えるものはないと、そういうこと。

現在

大学4年の最後にようやくaさんへ手紙を1通出し、彼女からは「もっと早く出せばよかった。私が先に」とだけ書かれた返事が今も残されている。8年に及んだ関係は対面に至らないまま終わり、今は別の恋人と愛し合う関係の中で生きている。あの時の関係をラカン的な対象aの構造に照らし「絶対に会えないけれど求めずにはいられない人」と言語化し、これまでの恋愛も「この人はaさんではない」と内心で繰り返しながら終わらせ続けてきたと振り返る。

過去

高校1年(16歳)の頃、偏差値74の公立男子校在学中に「小説家になろう」で自分の通う高校出身バンドのボーカルを応援していたaさんからコメントをもらい、テキスト越しに思いを交わす関係が始まった。直接表明はせずブログ記事と散文・詩で阿吽の呼吸でやり取りを続け、太宰治の「秋風記」を共に愛読し似た文体を育てていった。3〜4年経った頃に「あまりに好きすぎて」アメブロに逃げたが、aさんも追ってきてfc2で対話を継続。一浪して大学進学し、住所まで知りながら一度も会うことはなかった。

あまりにも彼女のことを好きすぎて逃げたんだけどね。

未来

恋人を愛し続けながらも、aさんとの恋愛だけは「一生かけても代え難い」唯一無二のものとして自分の中に保存される。これからも誰かにときめいたり、センス・オブ・ワンダーのような恋をしたり、誰かを愛したりすることはあるだろうと考えるが、あの時の「恋愛らしい恋愛」の代替は二度と訪れないと自覚している。テキストで共鳴する快楽の構造を持つ恋文的なやり取りが、自分にとって最も深い恋愛の形であり続ける。

愛することはあるし、誰かにときめき、センス・オブ・ワンダーみたいな恋をする。
全文を note で読む
栗林康弘

このインタビューの監修

栗林康弘(qbc)

無名人インタビュー主宰/聞く学校 校長

2020年に無名人インタビューを始めました。自分で872人の話を聞き、423本を編集。いまは16人の制作メンバーとともに年間約400件のインタビューを行い、これまでにのべ132名が聞き手・編集として参加しています。公開した実例は1,500件以上。聞き方の体系として「平聴(フラットリスニング)」を提唱し、2026年に「聞く学校」を開きました。1978年生まれ。(2026年8月21日現在)

栗林康弘のプロフィール →