「わかる、わかる」
「要するに、こういうことですよね」
「それって、〇〇ってことじゃない?」
会話の中で、こう受けてしまうことはないでしょうか。ちゃんと聞いていると伝えたくて、理解を示したくて、良かれと思って。
でも、相手がこれから言おうとしていた言葉を、先に言ってしまっていることがあります。
聞き方から考える話し方。法則8は、「わかる」の代わりに「というと?」です。
法則8 「わかる」の代わりに「というと?」
相手の言葉が先、自分の理解は後。「わかる」と言いたくなったら、「というと?」と聞く。

言葉は、話しながら生まれる
人は、頭の中にある完成した答えを、口から出しているのではありません。話しながら、その場で言葉を作っています。
その現場を見てください。「1人でいることはどうして好きなんですか?」と聞かれた場面です。
「1人でいることはどうして好きなんですか?」
余計なことを考えなくて済むというか。多分面倒くさがりなんですよね。ふふふ。なんか、うん、面倒くさがり。ここまで考えたことなかったな。すごい新鮮。今、頭にのんびりしたいっていうワードも、ぽんって浮かんできたんですけど。なんでだろう。ああ、そっか。のんびりしたいんだと思います。
── インタビューライターになろうって決めたときに、コミュニケーション苦手って思ってる自分のままじゃ駄目だって思ったのがきっかけで本当、自分をオープンにするようになった、人の話を、笑顔で、聞いてるおばあちゃん(無名人インタビュー)
「のんびりしたいっていうワードも、ぽんって浮かんできた」。言葉が生まれる瞬間が、そのまま残っています。「面倒くさがり」から「のんびりしたい」へ。答えが、話しているあいだに育っています。
もしこの途中で、「一人が気楽ってことですよね」とまとめていたら、どうなっていたでしょう。「そうですね」で終わって、「のんびりしたい」は、浮かぶ前に消えていたかもしれません。
「というと?」で受ける
「わかる」は、理解の表明です。「というと?」は、理解したい、という表明です。
無名人インタビューの実際の回です。移住先での暮らしを聞かれて、語り手が「すごい健康になりました」と答えた場面です。
「海士町での生活はどうですか?」
すごい健康になりました。
「というと?」
大阪にいたときは夜寝れなかったりとか、夏バテで全然ご飯食べれなかったりとか、たぶんストレスもあったと思うんですけど。こっち来たらご飯めっちゃモリモリ食べるようになったりとか、夜もぐっすり寝れたりとかして。(後略)
── 【海士町】海士町が帰りたい場所に絶対なるだろうなっていうのは今思ってるところ。人(無名人インタビュー)
「健康になったんですね」と受けていたら、その先は聞けなかったかもしれません。「というと?」の一言で、寝られなかった暮らしと、今の暮らしが、語り手の言葉で出てきました。
先に言えてしまうときこそ
先に言えてしまうときほど、言わずに聞きます。「まとめずに、聞く」ことは、法則12 引き算で聞くで扱っています。
まとめ
法則8 「わかる」の代わりに「というと?」
相手の言葉が先、自分の理解は後。「わかる」と言いたくなったら、「というと?」と聞く。
次は、相手が答えを探している時間を、どう過ごすかを見ていきます。
無名人インタビューについて
無名人インタビューは、2020年から続く一般の方へのインタビュー活動です。16人の制作メンバーが年間約400本、これまでに1,500本以上のインタビューを記事にしてきました。この記事の引用はすべて公開済みのインタビュー記事からのものです。
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