無名人時計
COLUMN

お金がないことと向き合った人の話。無名人インタビュー5選

「お金がない 不安」「貧乏 体験談」。そうした言葉を検索窓に入れて、このページにたどり着いた方がいるかもしれません。ここにあるのは、家計の立て直し方でも、こうすればよかったという反省でもありません。お金がない状況を実際に通ってきた人、いまも返済の途中にいる人が、そのことをどんな言葉で話したか。その記録です。

無名人インタビューは、有名無名を問わず、その人の人生の話を聞くインタビュー企画です。これまでに1,500件以上のインタビュー実例を公開してきました。そのなかから、お金がないことに触れて語っている5本を選びました。母子家庭で育った人、事業の借金を負った人、全財産が財布の5,000円と軽自動車だけになった人、行きたい場所に行けなかった人、いま返済しながら働いている人。年代も、金額も、状況もばらばらです。

各項目には、その人が話した言葉をそのまま引用しています。要約も言い換えもしていません。引用はすべて、公開済みの記事からの原文そのままです。並べた順番に、深刻さや優劣の意味はありません。

1.紅白より、騙されないように生きていかなくちゃ

年末年始も紅白とかどうでもよかったですね。白が勝とうが赤が勝とうがどうでもいい、とにかく貧乏人だからなんか騙されないように生きていかなくちゃみたいな。何かそういうのを金貸しのドラマから学んでましたね。

── 怒りでは走れない限界値を感じたNPO法人を作った人(無名人インタビュー)

母子家庭の貧困のなかで育ち、のちにNPO法人を作った女性の語りです。年末年始の話が、紅白の勝ち負けから、騙されないように生きていかなくちゃ、という身構え方へ移っていきます。それをどこから学んだかとして挙げられているのが、金貸しのドラマでした。

2.見てくれてる人は見てくれてる

返済を肩代わりするんじゃなくて、借金返せる事業をもう1回起こしなさいと言ってくれた人がいたり。2回目の時は、見てくれてる人は見てくれてるんだって思った。

── みんなで笑いたい。みんなの笑顔を作りたいです。人(無名人インタビュー)

会社を2度潰し、借金1億円を経験した50代男性が、2回目のときのことを話しています。肩代わりではない形の関わり方をした人がいた、という話です。そこで思ったこととして出てくるのが、「見てくれてる人は見てくれてる」という一言でした。2回のあいだに何があったのかは、元記事に書かれています。

3.全財産が財布に入ってる5,000円と軽自動車

全財産が財布に入ってる5,000円と15年落ちくらいの軽自動車だけという状況まで行ったんです。そのタイミングで就職した現場系の警備員では、ガソリンを入れるお金がないから、北海道の冬場で暖房もつけれずに車の中で休憩中うずくまってるみたいな日々が数ヶ月続いたんですよね。

── 明るい未来は多分何一つ待ってない人(無名人インタビュー)

所持金が5,000円まで減った時期のことを、30代男性が具体的に説明しています。北海道の冬、暖房をつけない車の中で休憩していた日々の話です。ここに至るまでの経緯と、この日々のあとどうなったのかは、元記事のなかで語られています。

4.お金がないので、ホームページを自分で作った

コミケに行きたかったけどお金がないので、ホームページを自分で作ればタダで自分の絵を世界中に見てもらえるので、頑張ってホームページ作ったんですよ。

── 親を頼らず一人で生きていきたい人を助けるためのシェアハウスをやっている人(無名人インタビュー)

お金がないという話が、ここでは行きたい場所に行けなかった話として出てきます。コミケに行く代わりに選ばれたのが、自分でホームページを作って、絵を世界中に見てもらうという方法でした。困窮を経験し、いまはシェアハウスを運営している40代女性の語りで、そこからどんな道をたどったかは元記事で読めます。

5.3人分ぐらい働いて、0.5人分で生活する

だから僕はサラリーマン3人分ぐらい働いて、3人分ぐらいの月収を何とか死守して、さらに2.5人分の返済に充てて、さらに残った0.5人分の手残りで日々生活している状況です。

── 僕は何者なんでしょうか?人(無名人インタビュー)

返済しながら働く日々が、人数のたとえで説明されています。事業の失敗による借金を返済中の、20代男性経営者の語りです。

読み終えたあなたへ

5本の語りに、共通する教訓はありません。お金がないという状況は、紅白の勝ち負けがどうでもよくなる年末年始として語られることもあれば、財布の5,000円と軽自動車として、あるいは3人分ぐらいと0.5人分という配分として語られることもあります。どれが重くてどれが軽いか、この記事の側から並べ替えることはしません。いま不安のただなかにいる方に、こうすればいいという話もしません。ここにあるのは、それぞれの人が、それぞれの時点で口にした言葉です。

読みながら、自分の場合はどうだろうと考えた方がいれば、話す側にまわる道もあります。無名人インタビューは、誰でも応募できます。お金にまつわる話を、整理してから持っていく必要はありません。話しているうちに、自分でも用意していなかった言い方が出てくることもあります。ここに並んだ5本も、誰かが話してくれたことで残った記録です。

話すのはまだ早いかな、と思う方には、「聞くお茶会」という場もあります。まず人の話を聞いてみるところから始める入口です。案内は下にあります。


無名人インタビューについて

無名人インタビューは、2020年から続く一般の方へのインタビュー活動です。約20名のインタビュアーが年間約400件、これまでに1,500件以上のインタビューを記事にしてきました。

聞くことは愛すること。

公開

栗林康弘

このコラムを書いた人

栗林康弘(qbc)

無名人インタビュー主宰/聞く学校 校長

2020年に無名人インタビューを始めました。自分で872人の話を聞き、423本を編集。いまは16人の制作メンバーとともに年間約400件のインタビューを行い、これまでにのべ132名が聞き手・編集として参加しています。公開した実例は1,500件以上。聞き方の体系として「平聴(フラットリスニング)」を提唱し、2026年に「聞く学校」を開きました。1978年生まれ。(2026年8月21日現在)

栗林康弘のプロフィール →
聞く学校を見るコラム一覧へ