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COLUMN

法則15 アドバイスを質問に変える|相談されたとき、答えを言いたくなったら

相談を受けると、つい解決策を言ってしまう。相手の話の途中で、もう答えが見えてしまって、早く教えてあげたくなる。言ったあとで、相手の顔が微妙に曇っているのに気づく。

アドバイスしたくなるのは、悪いことではありません。役に立ちたいという善意です。でもその善意が、相手から大事なものを奪っていることがあります。自分で答えに辿り着く機会です。

聞き方から考える話し方。法則15は、アドバイスを質問に変えることです。

法則15 アドバイスを質問に変える

言いたくなったアドバイスは、質問の形に作り替えて、相手に渡す。教える人から、聞く人へ。

なぜ、言いたくなるのか

アドバイスしたくなるのは、あなたが出しゃばりだからではありません。反射だからです。

人は、相手の話を聞くと、自分の中で何かが動きます。似た経験の記憶。自分ならこうする、という考え。正しそうな答え。聞くという入力に対して、自分が出力されそうになる。

そして、自分の答えを言うのは、気持ちがいい。善意と、反射と、快感。この三つが後押ししてくるので、我慢だけで手放すのは難しいのです。

聞き方から考える話し方 法則15 アドバイスを質問に変える。言いたくなったアドバイスは、質問の形に作り替えて、相手に渡す。教える人から、聞く人へ。× 「転職したほうがいいよ」 ○ 「これからどうしたい?」

助言のない場で、人は自分で気づく

無名人インタビューの現場には、聞き手が助言をせず、質問で返している場面があります。

お金の悩みを話した方の場面です。

今苦しいこと、お金どうしよう…ですね(笑)お金どうしよう。そればっかり考えてます、最近。

「じゃあ、とりあえず一年間働かなくていいよ、プラス、3百万円が手に入ったらどうするんです?」

あー、今のやりたいことをこう、なんか…あー、どうしましょうね~(笑)うーん、確かに。あー、どうしましょう。なんか収益化はしないと、続けていけないんで。そうなんですよね…。ちょっと今パッと思いつかないです、どうすればいいのかが。

「なんかどんな人の話を聞きたいと思ってます?」

あ、もうどんな人でも。好きなものの話を聞いていきたいです。

── 人の話聞くのが好きだなぁと思った人(無名人インタビュー)

聞き手は、「こうしたらいい」とは言っていません。尋ねているのは、「どうするか」と「誰の話を聞きたいか」です。3百万円の質問には、語り手は「ちょっと今パッと思いつかないです」と答えています。次の、どんな人の話を聞きたいかという質問には、「好きなものの話を聞いていきたいです」と、自分の言葉で答えました。

読書の好みという、何でもない話題でも、同じことが起きます。

「どういうところが苦手なんですか?」

わからない言葉が多すぎる。あと洋書も苦手なんですよね、適度にわからない言葉なら全然調べて読むんですけど。横文字も苦手なのかな。理解するのに、知らないことが一定を超えると、私は読むのにストレスを感じるのかっていうのを、今話しながら気づきました。

── 安心が正義みたいな人生だなって思う人(無名人インタビュー)

聞き手が投げているのは、質問です。語り手は、それに答えるうちに、自分で見つけています。

人は、話しながら気づくことがあります。頭の中の完成品を出しているのではなく、話すことで、その場で答えが生まれている。アドバイスは、その生まれかけた答えに、外から完成品を投げ込む行為です。相手の中で育っていたものは、そこで止まります。

アドバイスを、質問に変える

そこで、変換します。言いたくなったアドバイスを、質問の形に作り替えます。

「転職したほうがいいよ」と言いたくなったら、「これからどうしたいと思ってるの?」

「それは相手に伝えるべきだよ」と言いたくなったら、「そのこと、相手はどう思ってるんだろうね?」

「こうすれば解決するのに」と言いたくなったら、「今まで、どんなことを試してみたの?」

アドバイスの中身は、質問の種です。あなたが「転職すべきだ」と思ったのは、相手の未来に何かを見たからです。それなら、その未来を相手に聞けばいい。

あなたの見立てを言う代わりに、見立てが生まれた場所を、相手に探してもらう。

答えが相手の口から出てきたとき、それはあなたのアドバイスと同じ内容かもしれません。でも、自分の言葉で辿り着いた答えです。

質問の作り方は、法則6 4つの方向で聞くで見ました。

まとめ

法則15 アドバイスを質問に変える

言いたくなったアドバイスは、質問の形に作り替えて、相手に渡す。教える人から、聞く人へ。

役に立ちたいという気持ちは、そのままでいい。役の立ち方を、変えるだけです。

次の法則16では、聞きにくいことを聞くときの、質問の置き方を見ていきます。


無名人インタビューについて

無名人インタビューは、2020年から続く一般の方へのインタビュー活動です。16人の制作メンバーが年間約400本、これまでに1,500本以上のインタビューを記事にしてきました。この記事の引用はすべて公開済みのインタビュー記事からのものです。

聞くことは愛すること。

公開

栗林康弘

このコラムを書いた人

栗林康弘(qbc)

無名人インタビュー主宰/聞く学校 校長/パーソナルコーチ

2020年に無名人インタビューを始めました。自分で872本のインタビューを聞き、423本を編集。いまは自分を含む16人の制作メンバーで年間約400本のインタビューを行い、これまでにのべ132名が聞き手・編集として参加しています。公開した実例は1,500本以上。聞き方の体系として「平聴(フラットリスニング)」を提唱し、2026年に「聞く学校」を開きました。1978年生まれ。(「聞いた」「編集した」は2026年6月30日、チームの本数は2026年8月1日時点)

栗林康弘のプロフィール →
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