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COLUMN

家庭で傷ついて育った人の話。無名人インタビュー5選

「虐待 育ち 大人になって」「機能不全家族」。そうした言葉で検索して、このページにたどり着いた方がいるかもしれません。ここにあるのは、家族の類型の解説でも、これからどうすべきかの手順でもありません。家庭で傷つく経験をした人が、大人になったいま、そのことをどう言葉にしているか。その記録です。

無名人インタビューは、有名無名を問わず、その人の人生の話を聞くインタビュー企画です。これまでに1,500件以上のインタビュー実例を公開してきました。そのなかから、育った家庭のことが語られている5本を選びました。話しているのは20代から50代までの人たちです。できごとの詳細ではなく、いまの言葉で振り返って話された部分を中心に選んでいます。周囲からの評価の理由を「トラウマ障害や虐待の後遺症」と説明する人、学校を「シェルター」と呼ぶ人、「嘘をつかないと生きていられない世界」を振り返る人。使われている言葉はそれぞれ違います。

この記事は、誰かの家庭を評価しません。5本を一つの結論にまとめることもしませんし、掲載の順番に意味もありません。各項目には、その人が話した言葉をそのまま引用しています。要約も言い換えもしていません。引用はすべて、公開済みの記事からの原文そのままです。

1.評価は最悪、なんでそうなのかはわかっていて

周囲からの性格の評価は最悪ですね。ただなんでそうなのかはわかっていて、トラウマ障害や虐待の後遺症が表に出ちゃってるからです。

── 人類最強の人(無名人インタビュー)

周囲からどう見られているかを述べたあとに、「ただ」という折り返しがあります。自分の状態を自分の言葉で説明している、30代男性の語りです。周囲の評価そのものではなく、その評価が出てくる理由のほうが説明されています。この説明の仕方に至るまでのことは、元記事に語られています。

2.学校という、シェルター

楽しくはないんですけど、ちょっとシェルターみたいな感じでしたね。学校に行ってる間は、母の機嫌を取らなくていいし、殴られることもないわけじゃないですか。だから学校にいる間は、その学校というものに守られてるみたいな。

── 私は見下される側の材料になってもいいって思う人(無名人インタビュー)

20代女性が、子どもの頃の学校について振り返った語りです。「楽しくはないんですけど」という前置きから始まり、そのうえで「ちょっとシェルターみたいな感じ」という言い方が出てきます。学校の意味が、家から離れていられる場所として説明されています。

3.嘘をつかないと生きていられない世界

嘘をつかないと生きていられない世界にいたんですよ。親がわたしのことを虐待していたのがでかいかな…親の望むようなできるだけ愛されるような求める子でないと生きていけなかったからだと思います。

── 人間ってずっと幸せだったら幸せじゃないんですよ。人(無名人インタビュー)

嘘という言葉から入って、そこから理由のほうへ遡っていく一節です。40代女性が、自分がそうなった事情を振り返って話しています。当時の自分に何が必要だったかが、そのまま語られます。この人がいまどう話しているかは、元記事のなかにあります。

4.名前がつく前から、分かっていた

当時まだ「虐待」って概念はメジャーじゃありませんでしたけど、私は自分のうちがおかしいってことは分かっていたんですよ。

── インターネット上の存在になっちゃいたい人(無名人インタビュー)

「虐待」という言葉が世の中に行き渡る前に子ども時代を過ごした、40代女性の一節です。名前がつく前から、自分の家がおかしいと分かっていた、という順番で話されています。

5.母はネグレクトなんです

母はネグレクトなんです。母の、幼少期の私に対する虐待はネグレクトなんです。

── このまま今の自分を生きていきたい人(無名人インタビュー)

同じ言葉が、二度くり返されています。母のネグレクトを50代になって言語化した男性の語りで、二度目には「幼少期の私に対する」という限定が加わります。何をきっかけにこの言い方になったのかは、この短い一節からはわかりません。続きは元記事で読めます。

読み終えたあなたへ

5人に共通する筋書きはありません。学校を「シェルター」と呼んだ人がいて、「嘘をつかないと生きていられない世界」を振り返る人がいます。言葉がまだなかった時代のことを話す人も、50代になってから母のことをネグレクトと言い表した人もいます。自分の育った家庭をどう呼ぶかは、それぞれの語り手の言葉のなかにあります。この記事の側から、そこに何かを足したり、点をつけたりすることはしません。

読みながら、自分の場合はどうだったか、と考えた方がいるかもしれません。そのときは、今度は話す側にまわることもできます。無名人インタビューは、誰でも応募できます。順序立てて説明できる形にしてから来る必要はありませんし、まだ名前のついていない話のままでもかまいません。名前のなかった時間について、あとから話された言葉が、ここに並んでいます。

自分の話はまだ、という方には、「聞くお茶会」という聞く練習の場もあります。まず誰かの話を聞く側から入ってみる、という選択肢です。案内は下にあります。


無名人インタビューについて

無名人インタビューは、2020年から続く一般の方へのインタビュー活動です。約20名のインタビュアーが年間約400件、これまでに1,500件以上のインタビューを記事にしてきました。

聞くことは愛すること。

公開

栗林康弘

このコラムを書いた人

栗林康弘(qbc)

無名人インタビュー主宰/聞く学校 校長

2020年に無名人インタビューを始めました。自分で872人の話を聞き、423本を編集。いまは16人の制作メンバーとともに年間約400件のインタビューを行い、これまでにのべ132名が聞き手・編集として参加しています。公開した実例は1,500件以上。聞き方の体系として「平聴(フラットリスニング)」を提唱し、2026年に「聞く学校」を開きました。1978年生まれ。(2026年8月21日現在)

栗林康弘のプロフィール →
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